· 4 November 2026

PLN、PDG、Granular Energy、インドネシア初の再生可能エネルギー時間マッチングプロジェクトを開始

Image of a factory with green energy sources around

インドネシアの再生可能エネルギー証書(REC)制度は、2020年から電力の買い手にクリーンエネルギー調達のトレーサビリティを提供してきました。SBTi(Science Based Targets initiative)、Climate Group、GHGプロトコルが定める国際的な報告要件、基準、ガイドラインがより粒度の高いものへと移行するなか、先進的な企業の買い手は、この移行と継続的な脱炭素化を支えてくれることを電力会社に期待しています。

インドネシアがエネルギー転換を加速させるなか、電力会社の役割は、安定した電力と年間ベースでマッチングした再エネ証書を供給するだけにとどまらなくなっています。企業顧客は、自社の電力消費と再生可能エネルギーの発電がどれだけ一致しているかを示すために、より透明性が高く粒度の高いソリューションを求めるようになっています。

こうした動きを受け、インドネシアの国営電力会社であるPerusahaan Listrik Negara(PLN)は、「Green Energy as a Service(GEAS)」サービスを拡充しています。その一環として、Princeton Digital Group(PDG)と共同で時間マッチング型REC(T-REC)のGEASプログラムを開発しており、企業顧客がより信頼性が高く測定可能な脱炭素化の成果を達成できるよう支援します。

PLN、PDG、Granular Energyの3社は、商用化前の協力協定に基づき、今後12か月間、インドネシアにあるPDGのデータセンターを対象に時間ベースのマッチングを検証します。Granular Energyのプラットフォームを使い、各証書の裏付けとなる再エネ発電がPDGの電力消費とどれだけ一致しているかを、段階的に短い時間単位で測定していきます。まずは月次マッチング100%を目標に始めます。

PLNとPDGは、このパイロットを、2028年を目標とする共同開発のT-REC GEASプログラムにつなげる考えで、将来的にはアワリーマッチングへの道筋も描いています。年間マッチングでは、クリーン電力が発電される時期と消費される時期の季節的なずれが見えにくくなります。一方、時間ベースのマッチングは電力が実際にどう供給されているかを反映するため、電力会社と顧客は、クリーンな発電と消費をより緊密に一致させるために必要な透明性を得られます。

トレーサブルなクリーン電力を基盤とした提携

PLNにとって本提携は、PDGと共に時間マッチング型のクリーンエネルギー商品を共創し、急成長するインドネシアの企業需要にどう応えられるかを検証する機会です。その第一歩として、最もエネルギー消費の大きい分野の一つであるデータセンターを対象とします。インドネシアで複数のデータセンターを運営し、電力負荷が増え続けるPDGにとって、サステナビリティは中核的な重点分野です。また、重要なデジタルインフラを支えるPDGのデータセンターにとって、多様で地域で発電されたカーボンフリーエネルギーの供給は、エネルギー安全保障と事業のレジリエンスの観点からも重要です。

PDGは、国際的に認められた基準に沿って、カーボンフリーエネルギーのマッチングの粒度を段階的に高めていく方針です。PLNとの取り組みでは、協業開始時点から月次マッチング100%を目指します。ポートフォリオ全体では、2032年末までに週次マッチング75〜100%、2034年末までに日次マッチング75〜100%、2036年末までにアワリーマッチング75〜100%の達成を目標としています。PDGが従来の年間ベースの調達を超えて、PLNのような地域のパートナーと緊密に連携しているのは、粒度を細かくするほど、安定性・柔軟性があり蓄電池に支えられたクリーン電源がより多く必要になるためです。PDGは、粒度が高く時間マッチングされた証書がもつより大きな価値は、それを支える商業契約にも適切に反映されるべきだと考えています。

PDGのGroup Head of Energy & Environmentであるマイケル・マーティン氏は次のように述べています。
「データセンターの長期的なエネルギー需要を計画するには、再エネ発電が電力需要とどう一致しているかをより明確に把握する必要があります。インドネシアで月次マッチングから始めるPLNとのT-REC GEASプログラムの共同開発は、当社の調達判断に役立ち、ポートフォリオ全体で掲げる週次・日次・時間単位のマッチング目標に向けた前進を後押しします。RE100の技術基準を満たす時間マッチング型の証書は、当社のクリーンエネルギー調達に一層の透明性と厳密性をもたらします。最終的には、安定的で多様なカーボンフリー電源への継続的な需要を通じて、当社データセンターのエネルギー安全保障とレジリエンスを強化することを目指しています。」

PLNのデジタルエネルギーサービス部門であるPLN Icon Plusは、Granular Energyの技術を活用して、PLNが発行するRECの管理、RE100の技術基準を満たす割り当て、監査対応可能なレポートの作成を行います。これにより、PLNはPDGのような企業顧客に対し、社内目標の達成や国際的な報告基準への準拠に必要なデータと監査証跡を提供できるようになります。

時間ベースのマッチングは、顧客のクリーンエネルギーに関する主張の信頼性を高めるツールであるだけでなく、電力システムの計画ツールでもあります。再エネ発電が顧客の需要に満たない時間帯を特定することで、PLNが今後の再エネ電源、蓄電池、柔軟性ソリューションを計画するうえで貴重な知見が得られます。これにより、企業の需要をインドネシアの電力システムの変化と連動させ、より信頼性が高く持続可能なエネルギー供給の整備を加速する機会が生まれます。

PLNの商業・小売担当取締役であるM.ファフルル・ロジー氏は次のように述べています。
「PLNは、信頼性・透明性・トレーサビリティの高い再生可能エネルギーソリューションを通じて、企業顧客の脱炭素目標の達成を支援することに力を注いでいます。PDGおよびGranular Energyとの今回の協業を通じて、PLNはGreen Energy as a Serviceの開発の一環として、時間ベースの再エネマッチングを検証しています。再エネ消費の透明性向上にとどまらず、この取り組みは、企業顧客の変化するエネルギーニーズへの理解を深め、再エネ電源や蓄電池への今後の投資判断に生かし、インドネシアのエネルギー転換を支える拡張性のあるソリューションの開発に役立つものです。」

インドネシアに時間ベースのマッチングが到来

「マッチング」とは、企業が保有するRECが、実際に消費した電力とどれだけ一致しているかを表すものです。マッチングは、年次、四半期、月次、週次、日次、時間単位など、さまざまな粒度で行うことができます。年間マッチングでは12か月分の量を差し引きで合算するため、ある季節の余剰で別の季節の不足を補うことができます。これは世界で最も一般的なマッチングの粒度です。

This illustrative graphic shows a demand profile that is 100% matched with wind and solar generation on an annual basis, but only 62% matched on an hourly basis.

このイメージ図は、年間ベースでは風力と太陽光の発電で100%マッチングしている需要プロファイルが、時間単位では62%しかマッチングしていないことを示しています。

粒度の高いマッチングでは、消費と同じ測定単位の期間内に発電された証書でマッチングする必要があります。月次マッチングなら消費と同じ月の証書、週次マッチングなら同じ週の証書、という具合です。ある粒度から次の粒度へ移ると、その粒度での発電の不足が特定され、調達や需要側の見直しによって対処できるようになります。

PDGとPLNが最初に目指すのは月次マッチングです。年間マッチングから月次マッチングに移ると、インドネシアの雨季と乾季の発電量の違いが見えてきます。この両季節の間では、太陽光と水力の発電量に大きな差が出ると考えられます。年間マッチングではこの季節性が見えず、水力の多い好調な雨季が、曇りがちな乾季の不足を覆い隠してしまいます。時間ベースのマッチングでは、柔軟性とベースロード電源の重要性が高まります。2025年時点で総設備容量に占める再エネの割合は15.75%で、その内訳は水力が48.5%、バイオエネルギーが20.4%、地熱が17.6%でした[1]。こうした安定供給型(ファーム)のクリーン電源のポートフォリオに、100GWの太陽光の追加導入目標が加わることで、インドネシアは時間単位のクリーンエネルギー需要に応えるための強固な基盤を持つことになります。

時間マッチングはインドネシアのエネルギー計画と整合する

再エネの発電量が需要を賄えない時間帯を明らかにすることで、クリーンエネルギーの開発が最も現実的で効果の高い場所が見えてきます。現在、再エネが供給の大部分を占める場合でも、その出力変動のために、夜間の安定供給を維持するには出力調整が可能な従来型電源がまだ必要です。こうしたギャップはクリーンな技術で埋めていく必要があり、蓄電池がその主力技術になりつつあります。インドネシアのRUPTL[2] 2025-2034では大規模な蓄電の導入が計画されており、PLNはすでにディーゼル代替プログラム(DRP)を通じて、太陽光と蓄電池の組み合わせの導入を積極的に進めています。PLNはDRPを通じて、クリーンエネルギーを時間単位で使える状態を高めると同時に、国内の電源によってエネルギー供給の安全保障を強化しています。太陽光、水力、地熱、バイオエネルギーといった国内の再エネ資源は、輸入燃料のような供給や価格の変動にさらされません。アワリーマッチングによって、柔軟で国産の手段で埋められるギャップが見える化され、具体的な対策につなげられるようになり、長期的には国のエネルギーレジリエンスが高まります。

Granular EnergyのCommercial ManagerであるCamille Lambは次のように述べています。
「より粒度の高いマッチングに移行するということは、消費の1単位ごとに、同じ月・週・日・時間に発電された証書を対応させることを意味します。そのためには、信頼できるインターバル計量データ、正確な証書の割り当て、そして買い手と監査人が信頼できる監査証跡が必要です。Granular Energyのプラットフォームはこのプロセスを自動化します。明確な目標、共同の取り組み、そしてそれを実行するツールがそろった今回のPLNおよびPDGとの提携は、多くの市場で再現できるアワリーマッチングの手本となるものです。この取り組みを支援し、インドネシア内外の他のエネルギーの買い手にとっての刺激となるよう貢献できることを嬉しく思います。」

Granular Energyのプラットフォームがマッチングの過程で提供する透明性により、PLNとPDGは、既存のポートフォリオの拡充や新しい技術の活用によって不足を特定し、埋めていくために必要な情報を得られます。PLNにとって今回のパイロットは、再エネ電力と年間マッチングの証書を供給する立場から、企業顧客と国の電力システムが共に脱炭素化を進めるためのデータに基づくクリーンエネルギーサービスを提供する立場へと進化する一歩です。この検証フェーズの結果は、PLNとPDGがデータセンターや日用消費財(FMCG)企業などの企業顧客向けに共同開発しているT-REC GEASプログラムの設計に生かされます。また、PDGにとってはクリーンエネルギー供給の透明性を高め、インドネシアのエネルギー転換を後押しするものとなります。

[1] https://www.esdm.go.id/id/media-center/arsip-berita/bauran-ebt-di-sektor-listrik-lampaui-target-rukn

[2] RUPTL(Rencana Usaha Penyediaan Tenaga Listrik)は、エネルギー鉱物資源省が承認するPLNの10年間の電力供給事業計画で、国の発電・送電・インフラ整備の指針となるものです。

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